Works 施工事例
70年という
「時を紡ぐ」家
時間の流れそのものを設計した住まい
山で生まれ、長い年月をかけて育った木が、人の手によって家となり、家族の暮らしを包む。そして人が触れ、使い、歳月を重ねることで、木もまた色を深め、新たな表情を宿していく。この家には、そんな「木と人との循環」が随所に現れています。
玄関には杉の敷台を据え、天井には奈良・吉野杉、廊下の足元には桧を用いました。杉皮を使った壁の曲線や、寺院建築に学んだやわらかな輪郭も、単なる意匠ではありません。人を迎え、気持ちを解くための流れとして考えています。家の中心となるリビングにも桧や吉野杉を配し、光や視線が隔てられることなく、気配がほどよく行き交うようにしました。
お客様を迎える1階の客間には、亀甲の名栗を施した杉を用い、古くから繁栄と長寿を託してきた文様を、この家の新たな時間の中へ取り入れています。
そして、この住まいを象徴するもののひとつが階段です。長年家族が使ってきた既存の階段は取り壊さず、その記憶を残しました。
手摺の笠木には、お客様が生まれた年にお祖父様が植えた吉野杉を使用しています。七十年前、山に植えられた一本の杉が成長し、やがて家族が毎日その手を添える場所となる。古いものを保存するためではありません。受け継ぐに値するものを見極め、新しい役目を与え、再び暮らしの中へ還していくためです。
四代にわたり積み重ねられてきた家族の時間。山で育った木の時間。そして、これからこの家で始まる時間。それらを断ち切ることなく、一つの暮らしの中で結び直す。この邸宅は、新しく生まれ変わった家であると同時に、これまでの歳月を次代へ手渡していくための家でもあります。






























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(竣工日) 2026年03月
(所在地) 奈良県
(延床面積) 242.93㎡
(施工内容) 住宅