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人の体温が
宿り続ける宿

少し不便な営みの中に、人が本来持っていた生きる実感を味わう。

築140年の古民家を、ただ保存するのではなく、この土地に積み重ねられてきた木、火、技、暮らしの知恵を、もう一度いまの生活へ還していく。宿屋enが目指したのは、建物だけでなく、文化・暮らし・地域の循環そのものを次代へつなぐことです。

家の裏で長く育った桧は、大黒柱となり、薪となって再び家を温める。米を収穫したあとの藁は、壁の漆喰や屋根裏の断熱へ。奈良の墨は左官職人の手によって壁の陰影となり、140年前の柱や梁、建具、襖の骨組みも、手を入れながら次の暮らしへ受け渡していく。ここでは、ものは一度の役目で終わりません。

木は家となり、火となり、熱となる。藁は実りの後も住まいを守り、かつての職人の仕事は、現代の職人の手によって再び生かされる。

薪で米を炊き、囲炉裏で料理をし、火が育つのを待つ。便利さを極めるのではなく、手をかけることでしか得られない時間を取り戻す。その少し不便な営みの中に、人が本来持っていた生きる実感があります。

円が縁となり、縁がまた次の円へつながっていく。受け継いだものを、もう一度生かし、また次へ渡す。宿屋enは、人と木と火と土地の時間が、絶えずめぐり続ける家です。

data

(竣工日) 2026年05月

(所在地) 奈良県 奈良市

(延床面積) 180.5㎡

(施工内容) 住宅兼店舗

施工中の様子や拘り