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140年という歳月

リノベーションだからといって、古いものをすべて新しくすることは考えませんでした。柱や梁をはじめ、当時から使われてきたガラス、建具、木枠、扉。まだ役目を果たせるものは状態を見極め、必要な補強や修復を施しながら、できる限り残しています。

 

中には、約140年前につくられた襖の骨組みもあります。残したかったのは、古い「物」だけではありません。釘を表に見せず木を組み上げる技術や、建具の細かな納まりなど、そこには当時の職人が考え、手を動かした痕跡があります。

 

新しくつくれば均一に整えることはできます。しかし、140年という歳月と、その時代の職人が施した仕事は、新しくつくり直すことができません。使えるものは使い、直すべきところに手を入れ、次の暮らしへ渡す。その判断そのものを、この家の改修では大切にしています。